幕開けへ向けて準備進む
~リレー・フォー・ライフ2012がすでに始動〜
(1月対がん協会報から転記)
リレー・フォー・ライフ2012の開幕準備が全国で進んでいる。春に開催する計画の実行委員会はすでに何度も集まりを持って議論に入っており、チーム作りや企画に余念がない。夏、秋の開催地でも次々に日程が決まりだし、シーズン幕開けを心待ちにしている。
春を待たずに準備始まる
最も早く開催を予定しているのは熊本(5月12日ー13日)で、昨年秋に終了してすぐに日程を決めて準備に入った。町のイベントなどでチラシを手渡すなど参加を呼びかけながら、いち早くチームづくりを進めてきた。
熊本にはいま全国のリレー・フォー・ライフの仲間から注目されていることがある。それは、ロウソクである。昨年の会場でみんなでメッセージを送ったルミナリエで、ロウソクが燃え残った。そのロウソクが「もったいない」と、形を整え、心をこめて匂い、色を工夫してリサイクルでつくりあげた=写真。けっして残り物を捨てるのではなく、生かそうという大切にする取り組みだ。
続いて翌週は、茨城・つくばで開催される。夕日に向かい美しい姿で飛んでいったハト風船、エンプティテーブルのバックに届けられたあの歌声が記憶に残る。
芝生のコースにゆったりとつくられたコースで今年も、みんなが集うことだろう。
実行委員たちのもてなし企画はこれから詰めの調整に入っていく。
2012年の初開催数はまだ特定できないが7、8か所にはなる。その一つ、兵庫県の但馬は雪が舞い散る昨年12月にはすでに呼びかけを始めた。
口づてで一人一人に説明をして協力を頼み、徐々に理解が深まっている。
行政の協力申し出もあり雰囲気が盛り上がろうとしている。
長野県では、松本市と長野市でそれぞれ別な実行委員会が計画し、一挙に2か所になりそうだ。
松本は、5年間闘病した患者実行委員長の呼びかけに仲間が応える形で、昨年秋から始動した。幼なじみや職場の友人の支えで目下、中核の組織づくりが進み、長野ではいくつかの団体が呼びかけて、これも理解を深めてもらう作業が盛んに行われている。1月下旬から本格始動する計画で動きだした。
両実行委員会とも協力して県内で地域連携、啓発を進めようと連絡を取り合っている。
また、栃木では2年越しの話が実現に向かう。緩和ケアに熱心ながん専門医師と生保団体、健康づくり組織の有志らによって人脈づくりが盛んで、春を待たずに場所、日程を具体化させるという。すでに各地のリレー・フォー・ライフの会場を訪れて心構えを学んできた。
宮崎県延岡市では、県立病院を中心に病院内外の有志が、ぜひ開催をと熱望する患者さんの気持ちを受けて動き出している。
具体化へ向け、患者会、行政、いくつかの団体が熱い気持ちで動きをみせ、実行委員会がつくられた。まもなく日程や場所などの選定に入る動きをみせている。
横浜、京都などは場所移し新たな挑戦で開催か
何度目かの開催地の中には、場所が変わるところもありそうだ。すでに内定した場所がいくつか出ている。その中で、横浜は港で誰もが知る海沿いの山下公園、京都は駅のそばにある梅小路公園での開催が内定した。
すでになじみがある会場でもそのまま開催を続けるか、それとも今年は移動するか、実行委員の集まり具合を見ながら調整していく。
リレー・フォー・ライフは、夜通し、ルミナリエ、啓発などの基準を元に、患者・家族支援のための寄付を伴う。それだけに、ルールを守って慎重を期す部分と、大胆かつ独創的な企画で楽しみ学ぶおもしろさもある。
全国、そして国際的な支援をみんなで進める。シーズンオフは、こうした理念を確かめあう時期でもある。なぜ歩くか、なぜ寄付を募るか、できれば今年国内で開かれるだろう35か所から40か所ほどの開催地に参加する全員が、理念を知っていてほしい。
その学ぶ作業が春から夏、秋にかけても続いていく。
態勢強化、新薬研究への助成活動も実施へ
リレー・フォー・ライフに参加するボランティアの方たちとともに、作ってきた新たな企画が今春、日本癌学会と始まる。日本のがん研究最前線で日夜研究に励む研究者に全国のリレー・フォー・ライフで集めた寄付を資金助成する仕組みだ。題して、「プロジェクト未来研究助成」と呼ばれる。
昨年は5カ所の会場に研究者が訪れて、テントや舞台でマイクを握り、最新の研究の様子が生の声で語られた。それは、患者・家族と研究者の距離をぐんと縮めたが、次の段階として、研究への支援が始まる。
学会とリレー・フォー・ライフを実際に行うボランティアの代表が審査会をつくり、広く公募して寄せられたいくつかの研究を同じ席で審議する。新薬や治療開発への思いを込めて未来へ向けて選択をし、支援をする仕組みだ。
毎年の開催後に全国の実行委員会を通して寄せられる寄付の一部が、これに充てられる。若手医師が国内外の専門病院で勉強するための奨学金支援、がん無料相談や検診率向上のための資金充当などとともに、寄付の使われ方の中心になるのが、このプロジェクト未来になる。
国内のリレー・フォー・ライフは2007年の正式開幕当時から、リレー・フォー・ライフ独自の使い途を模索してきた。
研究支援はアメリカでも全米のリレー・フォー・ライフで集まった寄付の4割程度が充てられている。日本でもこのスタイルに近づく。
多くのボランティアの方々との協議、全国の了解という過程を経て導入され、がんを減らし少しでも快適な暮らしをするため、リレー・フォー・ライフに賛同した人々の気持ちを託すことになる。
一方、きちんとした開催を進めるため、趣旨を徹底し、地域で戸惑ったときに相談をする窓口として「ブロック・スタッフ」が登場する。全国を9地区に分け、すでに複数開催地域にリーダー的な人物を協会がお願いすることで、指導、相談態勢を充実させようという試みだ。まず7人がスタッフになる。開催数が増えるにつれてスタッフ数も多くなり、将来は一人が居住地周辺の5カ所ほどを総轄する姿を描いてその一歩を踏み出すことになる。